ずっと気になっていた「鉄」の世界
これまでは、使い勝手の良いテフロン加工のフライパンを愛用してきました。しかし、どんなに丁寧に扱っても、2年ほどでコーティングは剥がれ、滑りの良さは失われてしまいます。そのたびに「まだ使えるのに」と後ろ髪を引かれる思いで買い替える……そんなサイクルに、どこか物足りなさを感じていました。
「一生モノの鉄フライパンを使ってみたい」
そんな憧れはあったものの、二の足を踏んでいた理由が一つあります。それは、我が家がオール電化を見据えたIHクッキングヒーターだということ。鉄フライパンは「直火のガス火でこそ真価を発揮するもの」という思い込みがあり、ずっと敬遠してきました。
ところが先日、期限の迫ったAmazonポイントがあったこともあり、「失敗してもいいから一度試してみよう」と思い立ったのです。選んだのは、パール金属の18cm鉄フライパン。手出しわずか300円。ここから、私の鉄フライパン生活が始まりました。

最初の壁、サビ止めを落とす
鉄フライパンを使い始める際、最初に行うのが「シーズニング(油慣らし)」です。新品のフライパンには輸送中のサビを防ぐコーティング剤が塗られているため、まずはこれを落とす必要があります。
一般的な方法は「強火で焼き切る」ことですが、調べてみると「削り落とす」というやり方を見つけました。

今回は、家にあった電動サンダー(ミニデルターサンダー)とスコッチ・ブライトを使用し、物理的に磨いていくことに。

手作業だと時間がかかりますが、電動工具を使うとみるみるうちに鉄の素地が見えてきます。1時間ほどじっくり向き合い、ピカピカになったフライパン。この時点で、不思議と道具への愛着が湧き始めていました。

(※作業時は手が黒くなるので、軍手や手袋は必須です)

2. IH派だからこそ、カセットコンロで「焼き入れ」
いよいよ焼き入れです。IHには過熱防止センサーがついているため、空焚きを続けることができません。そこで、眠っていたイワタニのカセットコンロを引っ張り出してきました。

この後に焼き入れをしていきます。IHにはセンサーがついている物が多く空焚き機能で焼き入れができません。今回は昔買って使用していなかったイワタニのカセットコンロで焼き付けをしていきます。

強火にかけると、鉄の色が刻々と変化していきます。

最初は黄色っぽくなり、次に黒、

そして最後には美しい「青色」へ。。
この青い色は、鉄の表面に「酸化被膜」が形成された証拠です。この膜が、食材のくっつきを防ぎ、赤サビからフライパンを守ってくれます。均一に青く染まっていく様子は、まるでフライパンに命が吹き込まれていくようで、見ているだけで心が躍ります。

焼き入れが終わったら、次は油を馴染ませる工程です。

焼き入れが終わったら、次は油を馴染ませる工程です。多めの油をひき、野菜くずを入れて炒めます。

野菜が炭化するまで炒めることで、鉄の臭いを取り、油を表面に定着させます。

この工程を2回繰り返しました。

油をひき煙が出るくらいに熱していきます。油が気化したら冷まします。

冷えたらまたたわしで擦ります。

初めてということもあり、プロのように完璧に均一な油膜とはいきませんでしたが、使い込まれた道具のような渋い黒色に仕上がりました。
4. 感動の初調理:目玉焼きが教えてくれたこと
さっそく、完成したフライパンで目玉焼きを作ってみました。

しっかりとフライパンを温め、卵を割り入れます。

フライパンが温まったら卵をいれます。ジュワッという心地よい音とともに、香ばしい香りが立ち上がります。

驚いたのは、その「離れの良さ」です。ヘラを差し込まなくても、フライパンを揺らすだけで卵がスルスルと動きます。

鉄そして何より、味が違いました。白身の縁はカリッと香ばしく、テフロンでは味わえなかったクリスピーな食感。たかが目玉焼き、されど目玉焼き。道具ひとつでここまで料理が楽しくなるとは思いませんでした。

育てていく楽しみは、さらに続く
18cmのミニフライパンでの成功に手応えを感じた私は、その2週間後には26cmの「リバーライト 極JAPAN」を手に入れていました。

IHでの使用を考え、熱による変形に強い「板厚」のあるタイプを選択。決して安い買い物ではありませんでしたが、これから何十年と付き合っていける「相棒」だと思えば、良い投資だと感じています。
鉄フライパンは、使えば使うほど油が馴染み、使いやすく育っていきます。毎日の料理を通じて、このフライパンを自分だけの一品に育てていく。そんな穏やかな楽しみが、私のキッチンに加わりました。
これからは、このフライパンで焼くステーキや肉料理に挑戦していきたいと思います。もし迷っている方がいたら、まずは小さな一枚から始めてみてはいかがでしょうか

